「春に散る(上)」を読んでみた感想 元ボクサーの悲しき引退後の人生

こんにちは、わらべこ祭りです。 本日も見ていただきありがとうございます。

「春に散る(上)」という本を読んでみました

『春に散る』は著:沢木耕太郎さんの長編小説です。
この小説は朝日新聞で2015年から16年の8月まで連載され大きな話題を呼び2016年の大みそかに単行本として刊行されました。

この小説に出会ったきっかけは無類の読書好きの会社仲間に「最近で1番面白かった本は?」と聞いたところ、この『春に散る』の名前が出てきました。

話を聞いているうちにとても気になり実際に読んでみて、とても面白かったので紹介させていただきます。

スポンサーリンク

「春に散る(上)」ってこんな物語

この物語の主人公は年老いた元ボクサー広岡仁一。

才能豊かで将来は世界チャンピオンも!?
と期待されていたボクサーでしたが日本タイトル戦での不可解な判定負けをきっかけに日本を出てアメリカに旅立ちます。

しかし、協力者のいない異国の地での挑戦は無謀でした。結局、彼はチャンピオンとは無縁のボクサー人生を歩むことになってしまいます。
引退後はボクシングと関係の無い職業に就き、お金には困らないまでにはなったものの何か心にぽっかりと穴が空いたような日々。そして年齢から来る体の不調。

ふと彼は故郷である日本に帰ろうと決心し、そこから物語が始まります。

広岡が40年ぶりに帰ってきた日本は当時とは全く別の日本になっていました。当時通っていたボクシングジムも改装されて新しくなっています。

まず彼が日本に帰ってきて起こした行動が、かつてのボクシング仲間達に会うこと。
当時は広岡の他に3人のボクシング仲間がいました。共に小さな寮の一室に住み、食事もトレーニングも常に一緒で『いつかはチャンピオンに』という思いで充実した毎日を送っていました。

しかし、この3人もチャンピオンになれず引退し、それぞれが別の人生を歩んでいました。

 

ボクサーにはチャンピオンかそれ以外しかない

チャンピオンになれなかった仲間達の人生は暗いものでした。

読んでみた感想

テレビで見るボクシングの試合を見て脚光を浴びる選手達。とてもカッコいいですよね。男なら誰でも心のどこかに憧れを持ち、幼少時代にはボクシングの真似事をした人も大勢いるのではないでしょうか?

ただ、当たり前の事ですがボクシングで栄光と金を掴めるのは、才能と運に恵まれた一握りの人のみです。

99%のボクサーは収入も無いまま引退し、別の人生を歩まなければなりません。

その時、彼らを待っているのは絶望しかありません。

手に職もなくボクシングだけに没頭していた彼らが勤まる仕事は汚く低賃金の仕事ばかりです。

広岡の仲間達も引退後、暗闇の人生を歩むことになります。

広岡が、かつてのボクサー仲間である佐瀨という男に会いに行った時の出来事。

佐瀨は田舎で農業をしているという話でしたが実際は今にも崩れ落ちそうな家にひっそりと暮らしているだけでした。収入は母親がかけていてくれた年金のみ。

佐瀨はかつて世界三位にまで上りつめたボクサーです。そんなボクサーの将来がこんな事になっているとは。

佐瀨の言葉にこんなものがあります。

「世界チャンピオンになれなければ、たとえ世界一位になろうが同じ事だ」

ボクサーには2つの人種しかないといいます。チャンピオンとそれ以外のボクサー。

チャンピオンは唯一無二の存在です。元チャンピオンの肩書きがあれば引退後の道にも希望はあります。ボクシングジムを開けば人も集まるでしょう。

しかし、チャンピオンになれなかった者は世界三位になったとしても”ただのボクサー”と一括りにされてしまいます。
実際、佐瀨も引退後に借金をしてボクシングジムを経営しましたが”ただのボクサー”の所になんて人は集まらず、借金だけを残して廃業に追い込まれてしまいました。

この物語はフィクションですが、実際のほとんどのボクサー人生はきっとこんな感じなんでしょうね。たまたま運に恵まれて事業で成功した、テレビで成功した。という話は稀な話で、ほとんどの元ボクサーは絶望と後悔の人生を歩んでいるのかもしれませんね。

わらべコメント

さすが無類の読書好きが薦めていただけあって、非常に読みやすく面白い作品でした。
チャンピオンロードを追っていく作品は多くあると思いますが、チャンピオンになれずに鬱々と暮らしている引退後の人生を作品にしたものは意外と少ないのかもしれませんね。

 

人間、生きていれば少なからず後悔していることがあると思います。

あの時、ああしていれば・・・

あの時、こうしていれば・・・

この物語も所々で人生を振り返り後悔し、気分が落ち込むシーンがあります。

きっと中高年の方達が読むと、共感する事も多いのではないのでしょうか。

この作品は上巻下巻と分かれていますので、この記事を書き終えて下巻を読むのが今からとても楽しみです。

ちなみに個人的に気になっているのは、広岡の日本での住まいの準備にとても協力的だった不動産屋の土井佳菜子ちゃん。たぶん年齢的には20代前半だと思います。

この佳菜子ちゃんが広岡に親切過ぎるのが、とても気になっています。仕事が休みの日に自分から電話をかけてきて引っ越しに必要な電化製品を一緒に買いに行ってくれたり、新居に必要なものを買いそろえてくれたり、不動産屋としての仕事以上の事を進んでやってくれます。

さすがに20代の女の子が60代のおじいちゃんに恋をするのは無理があるので、佳菜子ちゃんの中に別の何かがあるのではないか?

下巻では、その真相に触れてくれることを期待しています。

↓Amazonでの購入はこちら↓
↓楽天での購入はこちら↓

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

春に散る 下 [ 沢木耕太郎 ]
価格:1728円(税込、送料無料) (2017/5/16時点)

 

この本の作者について

沢木耕太郎(1947年11月29日生まれ)

東京都立南高等学校を経て、横浜国立大学経済学部を卒業。
1970年、ルポライターとして『防人のブルース』でデビュー。

名前はペンネームで本名は公表されていない。

主な受賞歴
  • 1979年 『テロルの決算』で第10回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞
  • 1982年 『一瞬の夏』で第1回新田次郎文学賞を受賞
  • 1985年 『バーボン・ストリート』で第1回講談社エッセイ賞を受賞
  • 1993年 『深夜特急 第三便』で第2回JTB紀行文学賞を受賞
  • 2003年 これまでの作家活動で第51回菊池寛賞を受賞
  • 2006年 『凍』で第28回講談社ノンフィクション賞を受賞
  • 2013年 『キャパの十字架』で第17回司馬遼太郎賞を受賞

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。