【ネタバレなし】佐藤愛子 著「九十歳。何がめでたい」 あらすじと読んでみた感想
こんにちは、わらべこ祭りです。 本日も見ていただきありがとうございます。
「九十歳。何がめでたい」という本を読んでみました
タイトルにやられてしまいました。九十歳といえば卒寿として皆から祝福されるのが通常です。それなのにこのタイトル・・・。
いったいどういうこと?
読んでみると年配の方達の世界や考え方がわかり、とても納得のいく内容でしたので、ご紹介します。
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あらすじ
この作品は2016年5月まで1年間に渡って「女性セブン」に連載された大人気エッセイに加筆修正を加えたものです。
作家として長年活動をしてきた佐藤さんという女性。90歳を過ぎて書くべき事は全て書き尽くして作家として幕を下ろしました。
そんな彼女でしたが、ある編集者の熱烈な思いによって、1度は下ろした幕を再び上げて始まった連載が、この作品になります。
92歳になった自身の身体に次々に起こる「故障」や災難。時代の進歩に取り残される自分。あとは死へと向かうのみの残りの人生。
そんな夢も希望も無い残りの人生を「ヤケクソ」に生きる(しかない)自身の思いを佐藤さんだから書ける緩急のある文章は、笑いの後に感慨深い思いが残る日本最高峰の名エッセイです。
読んでみた感想
この本を読んでみて、とても衝撃的で、だけど納得できたことがあります。
”普通”誕生日というのは、おめでたいことです。特に長生きすればするほど還暦(60歳)や米寿(88歳)などと記念の名前まで付いて、みんながお祝いの言葉を並べます。しかし・・・
佐藤さんが90歳になり「卒寿」を迎えた時のこと。
当たり前のように、みんなから「おめでとう!おめでとう!」と言われます。それに「ありがとう」と応える佐藤さん。
どこにでもある”普通”の光景です。
ただ、90歳にもなると次々に身体が故障を訴え、腰が痛い・・・腰が治ったと思ったら今度は膝が痛い・・・膝が治ったら次は・・・と常に痛みがどこかにあります。
以前はピョンピョン兎のように駅前まで歩けた道のりが、今ではノロノロ亀さんです。
少し歩くと膝がガクガクしてよろけてしまいます。
後ろからやって来た自転車にも気づくまでに時間がかかります。昔だったら自転車の走る音に気づいて、よけることが出来たはずなのに、耳が悪くなった今では、それもできません。
そして、ヨロヨロしていると自転車のおばさんから「あぶないじゃないか!」と怒鳴られます。
また、ある時、テレビを見ていると、娘が苦々しい顔をして「なんでこんな大音量にするの!!」と怒鳴られます。だって聞こえないんだよ・・・。
普段は邪険に扱うくせに、こういったお祝い事になると揃って「おめでとう」と言われます。
「卒寿?ナニがめでてぇ!!」
10代、20代なら誕生日はおめでたいものなのでしょう。夢と希望がありますから。
でも80や90になると、希望なんてありません。同年代の集まりの中で決まって話される内容が
どうやって死ぬか
もう夢は「いかにぽっくり死ねるか」になってしまいます。
なのに若い人達は皆が「長生きして下さいね」「100歳まで頑張って下さい」などと言う。
人の気も知らないで・・・
私達が”普通”に何の疑いも無く発しているお祝いの言葉も、年配の人に取ってみれば苦痛でしかない。
私は思いました。
確かにそうだwなにがめでたいw
わらべコメント
長生きは素晴らしいこと。尊いこと。
そんな固定観念が覆された作品でした。
ただ、簡単には死ねないのだから生きるしかない。
そんな年配の方の思いを、佐藤さんだから書ける痛快な文章で笑いの後に、不思議な感情が残る作品でした。
この本は悩み多き若い人達に読んで欲しいと思います。
きっと、今の悩み事がちっぽけな事だと感じることができるでしょう。
この本の作者について
作者:佐藤愛子
出身:大阪府大阪市
生年月日:1923年11月5日生まれ(現在93歳)
- 1950年「青い果実」
- 1969年「戦いすんで日が暮れて」で直木賞受賞
- 1979年「幸福の絵」で女流文学賞受賞
- 2000年「血脈」で菊池寛賞受賞
- 2015年「晩鐘」で紫式部文学賞受賞
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最後までお読みいただきありがとうございました。